書籍_s17022710画像 精神医療、脱施設化の起源  英国の精神科医と専門職としての発展1890-1930
著者: 高林陽展
価格: 6,264円
発売日: 2017年02月24日
内容:
  20世紀を通じて世界各国は、入院型の精神病院を中心としたものから外来設備を核とし地域に根ざした精神医療、すなわちコミュニティ・ケアへと、医療サービスの形態を変化させてきた。

  これは精神医療の脱施設化と呼ばれる現象であるが、英国では19世紀末から始まっていた。


  1890年、イングランドでは狂気法と呼ばれる法律が成立した。

  この法律は、精神疾患を患っていない人々が強制的に精神病院へと監禁された事件を背景とし、患者の人権擁護を目指したものだった。

  しかしイングランドの精神科医たちは、狂気法の非人道性や治療上の非効率性などを指摘して、この人道主義的な法律に一様に抵抗を示した。

  そして彼らは、精神疾患の予防と早期の治療を御旗とし、入院型の精神病院によらない新たな精神医療の形態、脱施設化された精神医療を提案していった。

  なぜ、精神科医たちは1890年狂気法に反対し、脱施設化された精神医療の必要性を訴えたのか。

  本書は、この問いに答えるために、精神科医という専門職に注目し、その政治的言説、職階構造、診療実践、病院経営、他専門職との競争のありかたを検討する。

  そこからは、社会学者A・アボットが論じた、近代西洋社会に特徴的な専門職発展の歴史的様相が確認される。

  精神医療の脱施設化は、精神科医=専門職の政治経済的な戦略と社会的な諸関係なくしては現われることはなかった、歴史上の現象であった。
目次:
序章

第 I 部 脱施設化された精神医療への途――支配的業域の危機から権益確保の主張形成へ
第1章 精神医療へのアプローチ
1 精神医療の歴史学
2 専門職の社会学
3 19世紀末までのイングランド精神医療の歴史

第2章 1890年狂気法と早期治療言説の形成
1 狂気法の成立
2 早期治療言説の形成
3 早期治療言説のレトリック
4 早期治療言説の政治的共有に向けて
5 小括

第3章 戦争神経症の多発と早期治療言説
1 戦争と精神医療
2 戦争神経症と英国
3 軍務患者計画から早期治療言説へ
4 早期治療言説の帰結
5 小括

第II部 精神科医・精神病院・非正規医療――支配的業域をめぐる諸局面
第4章 1890年狂気法と精神科医
1 早期治療言説と専門職利害
2 職階構造の変容
3 顧問精神科医の診療ネットワーク形成
4 小括

第5章 1890年狂気法と精神病院
1 1890年狂気法と精神病院の経営
2 慈善と精神医療
3 ホロウェイ・サナトリアムと1894-95年スキャンダル
4 慈善と商業のあいだ――篤志精神病院の経営戦略
5 小括

第6章 精神医療をめぐる競争の諸相
1 精神科医と排他的競争の諸相
2 ウェザリーの私立精神病院擁護論
3 医業としての精神分析
4 戦時チャリティの隘路
5 保養所という名のブラックマーケット
6 小括

第7章 精神医学とスピリチュアル・ヒーリング
1 スピリチュアル・ヒーリング――宗教と医療のあいだ
2 スピリチュアル・ヒーリングの展開――J・M・ヒクソンとクリスチャン・サイエンス
3 国教会・心理学・精神医学の相克
4 小括

終章 精神医療の過去から今へ――20世紀後半の英国精神医療をめぐって

註記
あとがき
参考文献
図・表・図版一覧
事項索引
人名索引

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