書籍_s17082902画像 特別支援教育の到達点と可能性  2001〜2016年  学術研究からの論考
編: 柘植雅義、インクルーシブ教育の未来研究会
価格: 6,480円
発売日: 2017年09月30日
内容:
 新たな理念と基本的な考え、現代的な学校内外の支援システム、そして、PDCAサイクルで運用するという科学的な手法等を携えて「特別支援教育」に向けた助走が2001年に始まって15年が経過し2016年の現在に至った。

  長年続いた特殊教育からの決別であり、新たな特別支援教育への壮大なパラダイムチェンジであった。

 この15年間における特別支援教育の充実発展は著しい。学校教育法の改正、発達障害者支援法の成立・施行等の法的整備が進んだ。

  新たに始まった、知的障害のない発達障害の子どもへの教育は着実に進んだ。

  さらに、様々な障害に関する理解啓発、特別支援教育コーディネーターの指名と活躍、校内支援体制の着実な整備、教職員の専門性の確保、特別支援教育支援員の配置などが進んだ。

  さらに、近年では、国連の障害者権利条約の批准を受けて、インクルーシブ教育システムの構築に向けた取り組みが始まった。

  障害者差別解消法が2016年4月に施行され、合理的配慮という観点による障害者への支援が始まった。

 このように、特別支援教育への転換は着実に進み、一定の水準に達し、さらなる進化を続けていると考えられる。

 その一方で、特殊教育の時代から積み残した種々の課題で、未だに解決されていない事項があることも事実であり、そのことも、特別支援教育のさらなる進化や、インクルーシブ教育の本格的な幕開けを妨げている。

 以上のことから、15年が経過したという一区切りの時期に、特別支援教育の到達点とさらなる可能性を議論することは非常に重要である。

  すなわち、特別支援教育はどこまで到達し、何が課題として残っているのか、また特別支援教育が社会に浸透していく中で、新たに生まれた課題は何か? そして、そもそも特別支援教育はどこに向かおうとしているのか?、そして、インクルーシブ教育の可能性や方向性は?、という問いに答えていくことである。

 実は、この様な問いは、以前から気になっていたものであり、100年以上の長い歴史のある障害のある子どもの教育、特別支援教育の現状と成果、そして、課題を整理して今後を展望した拙書、柘植雅義 (2013) 『特別支援教育―多様なニーズへの挑戦―』 中公新書(中央公論新社)において、既に一定の取りまとめを行った。

 そこで、そのような問いにさらに本格的に答えるべく本書を企画した。本書では、2001〜2016年の15年あまりの間における到達点と課題について、特別支援教育の各分野において第一線で活躍する研究者60名ほどに事実ベースで論じてもらう。

  実態の把握と分析、考察と提言は、主にこの期間に産出された種々の学術研究等を踏まえて、その根拠を示しながら展開していくことにした。

 すなわち、執筆者には、出来る限り根拠(証拠)を示してもらいながら、資料を付けたり、関連する参考文献を挙げたりしていただいて論を構築していくこととした。

 このような第1章(到達点)、第2章(課題)に続いて、第3章(可能性)では、さらなる充実発展に向けた思いや期待を、各学術学会の代表者、保護者、教育関係者、教育行政関係者、計20名ほどにそれぞれの立場から提案してもらう。

  また、今後、必要になると考える研究テーマについても提案していただく。

 こうして、2016年時点における特別支援教育の到達点と課題を整理し展望を行う本書が、今後何十年経っても、特別教育支援を考える上での一つの基礎的な資料として残る内容の書籍になればと思う。
目次:
第1部 到達点

総論(柘植雅義)

1-1. 年齢別・学校種別
幼稚園(保育所,認定子ども園)……京林由季子
小学校……阿部利彦
中学校……大塚玲
高校……小田浩伸
大学等……田中真理
特別支援学校……石橋由紀子
就労……梅永雄二

1-2.早期発見・アセスメント
(発達障害の)早期発見・早期支援……小野次朗
アセスメントの進化……黒田美保

1-3.指導・支援の計画と評価
「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」……島治伸
指導方法・支援方策・評価手法……佐藤克敏

1-4.指導・支援の技法
通常学級での指導・授業、集団随伴性……若林上総
ABA(応用行動分析)による指導……松下浩之
SST(ソーシャルスキルトレーニング)の指導……小貫悟
ICT利用の発展……近藤武夫
社会性、コミュニケーション……藤野博

1-5.支援体制・コーディネーター・地域性
校内外支援システム・支援体制……関戸英紀
特別支援教育コーディネーター……宇野宏幸
養護教諭、保健、健康……鎌塚優子
僻地(へきち)……二宮信一

1-6.コンサルテーション・教員支援・保護者支援
コンサルテーション・カウンセリング……大石幸二
ペアレントトレーニング……神山努

1-7.発達障害とその周辺
発達障害の出現率研究……柘植雅義
LD(学習障害)……熊谷恵子
ADHD(注意欠陥多動性障害)……岡崎慎治
ASD(自閉症スペクトラム)……渡部匡隆
学習困難……伊藤由美

1-8.ギフティドと才能
ギフティッド・才能……松村暢隆

1-9.種々の障害
情緒障害・不登校……小野昌彦
言語障害……宮本昌子
知的障害……菅野和恵
病弱・身体虚弱……滝川国芳
肢体不自由……一木薫
視覚障害……小林秀之
聴覚障害……佐藤正幸
重複障害……土谷良巳

1-10.関連の学問領域の動向
福祉学……大塚晃
医学……高木一江
体育学……澤江幸則
情報学・工学……鈴木健嗣

第2部 課題

総論(柘植雅義)

2-1.特別支援教育の理念と基本的な考えの問題
吉利宗久
荒川智
米田宏樹

2-2.特別支援教育の対象と範囲の問題
中尾繁樹
西牧謙吾
辻井正次

2-3.2E教育の問題
(特に知能が高い子ども、特異な才能のある子ども(gifted and talented)の教育の問題)
松村暢隆
小倉正義

2-4.個に応じた指導・支援、教育課程、指導の質の問題
河合康
植木田潤
竹林地毅

2-5.通級による指導と特別支援学級の在り方の問題
櫻井康博
小林玄
中田正敏

2-6.教員の養成・専門性・学歴の問題、免許制度の問題
三浦光哉
緒方明子
日野久美子

2-7.大学・高等専門学校における問題
西村優紀美

2-8.当事者・保護者・家族の参画の在り方の問題
柳澤亜希子
井上雅彦

第3部 展望と期待

3-1.国際比較の視点から日本の特別支援教育や学術研究への提言
アメリカからの示唆……齊藤由美子
韓国からの示唆……落合俊郎
イギリスからの示唆……横尾俊
フランスからの示唆……棟方哲弥
北欧からの示唆……是永かな子

3-2.学術学会の代表者のコメント(今後期待される学術研究は?)
日本心理学諸学会連合……理事長 子安増生
日本LD学会……事務局長 緒方明子
日本自閉症スペクトラム学会……副会長 園山繁樹
日本特殊教育学会……理事長 安藤隆男
日本小児精神神経学会……理事長 宮本信也

3-3.親の会・当事者団体
東京都文京区 親の会 文の子の会……代表 井上美和
日本LD親の会……代表 東條裕志
NPO法人えじそんくらぶ……代表 高山恵子
日本自閉症協会……会長 市川宏伸
全国手をつなぐ育成会連合会……統括 田中正博

3-4.行政(これからの教育行政に必要な研究とは?)
地方自治体の教育委員会の立場から……瀧田美紀子
地方自治体の教育行政の立場から……豊岡裕子
地方自治体の教育長の立場から……戸ヶ 勤
地方自治体の首長の立場から……インタビュー:泉房穂
研究者へのエール(仮題)……瀧本 寛

3-5.『インクルーシブ教育の未来研究会』メンバーによる研究提言

第4部 未来を描く(座談会)
司会:柘植雅義
佐藤克敏
納富恵子
近藤武夫
野口和人
石橋由紀子
鎌塚優子

買い物かごの中身
商品は入っていません。

このページの一番上に戻る


RapidSSL このサイトからの情報送信は暗号化により保護されます。

特定商取引法に基づく表記 ┃ 個人情報の保護 ┃ 会員規約 ┃ 求人情報 ┃ 広告掲載