書籍_s18021201画像 ネガティブ・ケイパビリティ  答えの出ない事態に耐える力
著者: 帚木逢生
価格: 1,404円
発売日: 2017年04月25日
内容:
 多くの受賞歴をもつ小説家であり、臨床40年の精神科医が悩める現代人に最も必要と考えるのは「共感する」ことだ。

 この共感が成熟する過程で伴走し、容易に答えの出ない事態に耐えうる能力がネガティブ・ケイパビリティである。

 古くは詩人のキーツがシェイクスピアに備わっていると発見した「負の力」は、第二次世界大戦に従軍した精神科医ビオンにより再発見され、著者の臨床の現場で腑に落ちる治療を支えている。

 昨今は教育、医療、介護の現場でも注目されている。

 セラピー犬の「心くん」の分かる仕組みからマニュアルに慣れた脳の限界、現代教育で重視されるポジティブ・ケイパビリティの偏り、希望する脳とプラセボ効果との関係……

 せっかちな見せかけの解決ではなく、共感の土台にある負の力がひらく、発展的な深い理解へ。
目次:
●はじめに――ネガティブ・ケイパビリティとの出会い
精神医学の限界
心揺さぶられた論文
ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティ

【第一章】キーツの「ネガティブ・ケイパビリティ」への旅
・キーツはどこで死んだのか! ?
・燃えるような愛の手紙
・キーツの短い生涯
・文学と医師への道
・経済的困窮の中で「受身的能力」へ/ほか

【第二章】精神科医ビオンの再発見
・精神分析におけるネガティブ・ケイパビリティの重要性
・ビオンの生涯
・第一次世界大戦の戦列へ
・精神分析医になる決意
・ベケットの治療から発見したこと/ほか

【第三章】分かりたがる脳
・セラピー犬、心くんの「分かる」仕組み
・マニュアルに慣れた脳とは?
・画一的思考が遅らせたピロリ菌の発見
・分かりたがる脳は、音楽と絵画にとまどう
・簡単に答えられない謎と問い

【第四章】ネガティブ・ケイパビリティと医療
・医学教育で重視されるポジティブ・ケイパビリティ
・終末期医療で医師には何が必要か
・ネガティブ・ケイパビリティを持つ精神科医はどうするか
・小児科医ウィニコットの「ホールディング」(抱える)
・人の病の最良の薬は人である

【第五章】身の上相談とネガティブ・ケイパビリティ
・日々の診療所から
・八人の受診者
・身の上相談に必要なネガティブ・ケイパビリティ

【第六章】希望する脳と伝統治療師
・明るい未来を希望する能力
・楽観的希望の医学的効用
・山下清を育んだもの
・ネガティブ・ケイパビリティを持つ伝統治療師
・精神療法家はメディシンマンの後継者/ほか

【第七章】創造行為とネガティブ・ケイパビリティ
・精神医学から探る創造行為
・芸術家の認知様式
・小説家は宙吊りに耐える
・詩人と精神科医の共通点

【第八章】シェイクスピアと紫式部
・キーツが見たシェイクスピアのネガティブ・ケイパビリティ
・理解と不理解の微妙な暗闇
・紫式部の生涯
・『源氏物語』の尋常ならざる筋書き
・源氏を取り巻く万華鏡のような女性たち/ほか

【第九章】教育とネガティブ・ケイパビリティ
・現代教育が養成するポジティブ・ケイパビリティ
・学習速度の差は自然
・解決できない問題に向かうために
・研究に必要な「運・鈍・根」
・不登校の子が発揮するネガティブ・ケイパビリティ/ほか

【第十章】寛容とネガティブ・ケイパビリティ
・ギャンブル症者自助グループが目ざす「寛容」
・エラスムスが説いた「寛容」
・ラブレーへ
・モンテーニュへ
・つつましやかな、目に見え難い考え/ほか

●おわりに――再び共感について
共感の成熟に寄り添うネガティブ・ケイパビリティ
共感豊かな子どもの手紙

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